自然によって描かれたパターン

アラスカが放つ最大の魅力といえば、手つかずの大自然が広がっていることだろう。果てしないとすら思えるアラスカの荒野は、想像するだけでいてもたってもいられなくなるほどに心をくすぐり、冒険心をかき立てる。

 

特に北極圏のラインに沿って連なるブルックス山脈は引き込まれるほど美しい。北極海を眼下に見下ろす北斜面は、とうに森林限界を超えているので木らしい木は生えられない。ただただ荒涼とした谷が続く。カメラを手に誰もいない北極の大地に降り立ったなら、四方八方どこを向いても美しい景色と動物、そして初夏には数え切れない小さな小さな花々が咲き乱れている。

 

その中でも、何故か胸の芯をググっと掴まれるようなシーンに出会えることがある。唐突に視界がひらけたような感覚になり、どこを写せばいいのかが決まっていたかのようにシャッターを切りたくなる。谷に差し込む光の筋であったり、植物によってパッチワークのように織りなされた色の重なりであったり、動物が形作るシルエットの場合もある。

 

それは、何気なく街を歩いていて「絶対自分に似合うだろうな」という服を見つけた時のような感覚に似ている。きっと金の鉱脈でも掘り当てたように感じるんじゃないだろうか。僕にとってはアラスカの自然が描く美しいパターンとの出会いこそが、何よりも嬉しいハプニングだ。